セットアップとは? ジャケットとパンツを別々に選ぶメリット
Written by Kenji Tanaka
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スーツを購入するとき、ジャケットとパンツは同じサイズでなければならないのでしょうか。
コロンビアでは、ジャケットとパンツが上下セットになった既製スーツが一般的です。多くのブランドでは、上下を同じサイズの組み合わせから選びます。しかし、上半身と下半身の体型は、必ずしも同じサイズのバランスになっているわけではありません。ジャケットは40がちょうどよくても、パンツは42(=36)のほうが合う人もいます。
こうした体型の違いに対応する選択肢のひとつが、ジャケットとパンツを別々のサイズで購入できるセットアップスーツです。では、一般的な既製スーツやオーダーメイドスーツとは、どのような違いがあるのでしょうか。
既製スーツ:豊富な選択肢とサイズの制約
一般的な既製スーツのメリットは、さまざまな商品から選べることです。色やデザイン、生地、価格帯など、幅広い選択肢の中から自分の好みに合う一着を探せます。すでに完成した商品なので、在庫があれば購入後すぐに持ち帰れることも利点です。
一方、ジャケットとパンツは、あらかじめ決められたサイズの組み合わせで販売されるため、上下それぞれの体型に完全に合わせることは難しい場合があります。既製スーツでは、ジャケットのサイズに対するパンツのウエストサイズの差を「ドロップ」と呼び、この数値によって上下のサイズバランスが決まります。ただし、同じ身長や胸囲でも、体型によって適切なドロップは異なります。詳しくは、[スーツのドロップとは?]をご覧ください。
たとえば、肩幅や胸まわりに合わせてジャケットを選ぶと、パンツまで同じサイズでは大きすぎることがあります。反対に、ウエストやヒップに合わせてパンツを選ぶと、ジャケットが窮屈に感じられたり、反対に大きすぎたりすることもあります。
既製スーツは選択肢の豊富さが魅力ですが、上下のサイズバランスが自分の体型に合うとは限りません。
セットアップスーツ:上下を別々に選べる自由
セットアップスーツとは、ジャケットとパンツを別々に購入できる既製スーツのことです。同じ生地や色で上下を揃えながら、それぞれのサイズを自由に選べるため、一般的な既製スーツよりもサイズ選びの自由度が高まります。
さらに、商品によってはジャケットだけ、あるいはパンツだけを買い足すこともできます。上下を別々に使った着こなしも楽しめるため、購入方法やコーディネートの幅が広がります。
ただし、消費者にとっての選びやすさが、販売する側にとっても効率的とは限りません。
ジャケットとパンツを別々に販売する場合、販売側はそれぞれのサイズについて需要を予測し、在庫を用意する必要があります。ジャケットだけが売れたり、特定のサイズのパンツだけが残ったりすることもあり、上下セットで販売する場合とは異なる在庫管理の難しさがあります。こうした事情から、セットアップとして展開される商品やサイズの組み合わせが限られる場合もあります。
そのため、セットアップスーツはサイズ選びの自由度が高い一方で、一般的な既製スーツほど多くの商品から選べるとは限りません。
オーダーメイドスーツ:自分の体型と好みに合わせる
既製スーツやセットアップスーツとは異なる選択肢が、オーダーメイドスーツです。
オーダーメイドでは、一人ひとりの体型に合わせて仕立てるため、既製品のサイズに自分を合わせる必要がありません。さらに、生地や色、デザイン、ディテールなども自分の好みに合わせて選べます。サイズだけでなく、着用する場面や自分のスタイルまで考慮しながら、一着をつくれることが大きなメリットです。
一方で、一着ずつ個別に仕立てるため、一般的な既製品と比べて価格が高くなりやすく、完成までに時間もかかります。すぐにスーツが必要な場合や、購入価格を優先したい場合には、既製品のほうが適していることもあるでしょう。
オーダーメイドは、単にサイズを合わせるための方法ではありません。既製品では見つけにくい、自分の体型や好みに合った一着を求める人にとって、有力な選択肢です。
スーツの生産方法と持続可能性
これらの違いは、購入する側の利便性だけでなく、服の生産や在庫、環境負荷について考えるきっかけにもなります。
既製スーツでは、さまざまなサイズやデザインの商品をあらかじめ生産し、需要を予測しながら在庫を管理する必要があります。セットアップスーツの場合は、ジャケットとパンツを別々のサイズで用意するため、販売側にとって在庫管理がさらに複雑になることもあります。
一方、オーダーメイドのように注文を受けてから生産する方法では、あらかじめ大量の完成品在庫を用意する必要がなく、需要に応じて生産量を調整しやすくなります。必要なものを必要な分だけつくることは、過剰生産や売れ残りを抑えるという点で、持続可能性を考えるうえでも重要です。
また、服の価値は購入した時点だけで決まるものではありません。体型に合い、着心地がよく、自分のスタイルに馴染む服は、長く着続ける一着になりやすいでしょう。
服を選ぶ自由を広げること。生産や在庫の無駄を減らすこと。そして、一着を長く着ること。服の選び方を考えるときには、購入する側の利便性だけでなく、服がどのようにつくられ、どのように使われていくかという視点も大切ではないでしょうか。