ストライプのスーツを着ると、本当に背が高く見える?

ストライプのスーツを着ると、本当に背が高く見える?

Written by Kenji Tanaka

「背が低いので、ストライプのスーツのほうが背が高く見えますか?」

「少し体型が気になるので、チェック柄は避けたほうがいいですよね?」

お客様から、こうした質問をよく受けます。

でも、私はそうは思いません。

ストライプのスーツを着たからといって、その人が本当に背が高く見えるとは思いません。 もちろん、柄や色によって見え方が多少変わることはあるでしょう。でも、それを理由に、「背が低い人はストライプ」「体型をすっきり見せたいから濃い色」「体型が大きいからチェックを避ける」というルールに従う必要があるのでしょうか。私は、そうは思いません。

 

「体型をよく見せる服」というルール

「背が低い人にはストライプ」という話は、多くの人が一度は耳にしたことがあるでしょう。

だからこそ、私は少し気になります。

背が低いからストライプを選ぶ。体型が大きいから濃い色を選ぶ。そうやって「似合う」と言われたものだけを選んでいくと、いつの間にか、その人自身の好みや個性が服から消えてしまうことがあります。

街で背の低い人がストライプのスーツを着ているのを見て、「ああ、背を高く見せるためにストライプを選んだのかな」と感じてしまうことがあります。

もちろん、それが悪いわけではありません。

でも私は、少しもったいないと思うのです。

「背が低いからストライプ」ではなく、「自分がストライプを着たいからストライプ」。

その違いは、服そのものよりも、その人の佇まいに表れると思います。

もちろん、そうした見せ方に一定の効果があることは否定しません。でも、それを理由に着るものを制限する必要はないと思っています。「これは自分の体型には似合わない」と、最初から決めつけてしまう必要はありません。

 

グレーのスーツを、誰よりもかっこよく着る

例えば、グレーのスーツが好きだとします。「グレーは自分に似合う色なのだろうか?」と考える必要はありません。グレーが好きなら、グレーを着ればいい。

365日グレーのスーツを着て、**「自分が一番似合う色はグレーだ」**と自分自身が確信すればいいのです。そうすれば、やがて周りの人からも「あなたといえばグレー」と思われるようになるかもしれません。最初から「グレーが似合う人」だったのではなく、自分で選び、着続けた結果として、それが自分のスタイルになっていくのです。

Steve Jobsのスタイル

Steve Jobsと聞けば、多くの人があの黒いタートルネック姿の彼を真っ先に思い浮かべるはずです。 黒いタートルネック、ジーンズ、スニーカー。彼は、ほとんどいつも同じスタイルを選び続けました。

もちろん、同じ服を着続けること自体が重要なのではありません。自分が何を着るのかを自分自身で決め、それを選び続けたこと。 その結果、「Steve Jobsといえば黒いタートルネック」という、誰もが認識するスタイルが生まれました。誰かに「Steve Jobsには黒いタートルネックが似合う」と決めてもらったわけではありません。彼自身が選び続けたからこそ、それが彼のスタイルになったのです。

パーソナルカラーより、自分の感覚を

今は、パーソナルカラー診断など、自分に似合う色を教えてくれるものもあります。何を着ればいいのか全く分からない人にとっては、そうしたアドバイスが最初のきっかけになることもあるでしょう。だから、参考にすること自体が悪いとは思いません。

でも、すべてを鵜呑みにする必要はありません。 「あなたにはこの色が似合います」と言われたから、その色だけを着る。「この柄は体型に合いません」と言われたから、好きな柄を避ける。それでは、自分で服を選ぶ意味がなくなってしまいます。

大切なのは、自分が良いと思ったものを選ぶこと。 そして、その選択を自分自身で信じることです。

自分がどういう人になりたいのか

服を選ぶとき、「どうすれば背が高く見えるか」「どうすれば痩せて見えるか」だけを考える必要はありません。それよりも、**「自分はどういう人になりたいのか」**を考えてみてもいいと思います。

クラシックな人になりたい。知的な雰囲気を持ちたい。大胆な色を着こなしたい。シンプルな服を自分のスタイルにしたい。自分だけのスタイルを作りたい。

そのイメージに合わせて服を選び、着続ける。そうやって自分の選択を積み重ねていくことで、少しずつ自分のスタイルができていきます。

テーラーとしてできること

もちろん、テーラーとしてお客様の身体を見ることは重要です。肩幅、胸囲、ウエスト、ヒップ、姿勢。身体の特徴を理解したうえで、服を作ります。

でも、それは身体の欠点を隠すためだけではありません。 お客様が着たいと思った服を、その人自身の身体に合わせて美しく仕立てるためです。

背が低いからストライプ。体型が大きいからチェックはダメ。そんなふうに最初から選択肢を狭める必要はありません。

ストライプが好きなら、ストライプを着ればいい。チェックが好きなら、チェックを着ればいい。

自分が良いと思ったものを、自分のスタイルとして選べばいいのです。

最終的に大切なのは、背が高く見えることでも、痩せて見えることでもありません。自分がどういう人になりたいのかを考え、自分で服を選び、その選択に自信を持つこと。 私は、それこそが自分らしいスタイルを作るために一番大切なことだと思っています。

Back to blog